大麻小の研究

「伝えたい!高め合いたい!」児童の育成
~ICT 機器を使い対話的な学びを重視した授業改善を通して~

(1)主題設定の理由

① 今日の課題から

 近年、子供たちを取り巻く環境は、都市化・少子高齢化による地域社会の変容、情報化社会の進展に伴う情報の氾濫、めまぐるしく変化する国際情勢など、日々変化し続けている。そのため、次世代を生きる子供たちは、グローバル化や技術革新、情報社会化への急速な対応など、多くのことが求められる。文部科学省の「教育振興基本計画」では、多様で変化の激しい社会の中で、個人の自立と協働を図るための主体的・能動的な力「社会で生き抜く力」の養成の必要性を示している。これは、生涯にわたる学習の基礎となる「自ら学び、考え、行動する力」とも言われている。また、新学習指導要領では、育成すべき資質・能力の三つの柱として、以下のものが挙げられている。

1.何を理解しているか、何ができるか(個別の知識・技能)
2.理解していること・できることをどう使うか(思考力・判断力・表現力等)
3.どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか(学びに向かう力、人間性等)

 特に、3の「学びに向かう力」は、1や2の力が働く方向性を決定づけるものとされており、学ぶことの根底にある大切な力ととらえることができる。つまり、学校現場では、子供たちが変化し続ける社会に対応するために、生涯にわたって主体的に学び続けるための意欲や、友達や同僚などと協働して学ぼうとする姿勢である「学びに向かう力」の育成が求められている。文部科学省の新学習指導要領では、「学びに向かう力」を「主体的に学習に向かう態度を含むもの」としている。主体的に学ぶとは、自分が知らないことやできないことに対して、「学びたい」「知りたい」「できるようになりたい」という、欲求や意思をもって学ぶことである。つまり、課題や目標に向かって、「学びたい」という欲求をもち、自分の意志で学び続ける力である。  本校では、「学びに向かう力」を「子供自らが学びたいと思い、学び続ける力」ととらえ、主体的・対話的で深い学びの視点に立った授業づくりを行ったり、学習環境を整えたりすることで、学ぶ意欲が高まり主体的に学び続ける子供を育むことができると考え、本主題を設定した。

② 本校の重点教育目標から

 今年度の重点教育目標は、すすんで取り組み、高め合う 大麻の子である。昨年度の学校経営策定アンケートにおいて、取り組みたい子供の姿として、自ら進んで元気に活動できる子を挙げた教師が多かった。児童アンケートにおいては「学校は楽しい」と答える子が 90%以上であるといのが本校の良さである。また、昨年度から対話に関しての研究を進めているが、対話について90%近くの子供たちが積極的に取り組んでいると感じている。自分の考えや思いを他者に発出する機会が多くなり、授業において対話しやすい雰囲気づくりや ICT を用いた交流の授業スタイルの構築と日常的に話しやすい、相談しやすい関係性を創造していくことを引き続き進めていく必要がある。そこで、今年度は2年次研究の2年目として、昨年度に引き続き、めざす児童の姿を「考えや思いを進んで表現できる子」とした。

(2)研究内容について

①研究仮設

対話的な学びの視点に立った授業づくりを行うことで、学ぶ意欲が高まり、知識、技能が定着し思考を広げ深めていくことができるだろう。

②目指す児童像

~考えや思いを進んで表現できる子~

前述の児童、保護者アンケートでは自分の考えや思いを他者に発出する項目が低くなっている。授業における話しやすい雰囲気づくりや授業スタイルの構築と日常的に話やすい、相談しやすい関係性を創造していくことを引き続き進めていく必要があり、児童につけたい力として「自分の考えを相手に伝えようとする力」「コミュニケーション能力」「誰とでも会話できる力」が挙げられる。その力をのばすための授業改善が必要であるということが明確となった。そこで、本研究では、どの教科活動においても対話的な活動を重視した授業改善を行い、考えや思いを進んで表現できる児童を育てていきたいと考え、めざす児童像を設定した。